太平洋地域:総論・生体計測
●太平洋地域
太平洋地域は、別名、「オセアニア」とも呼ばれます。この地域は、以下のように、大きくミクロネシア・メラネシア・ポリネシア・オーストラリアの4つに分かれます。
・ミクロネシア
・メラネシア
・ポリネシア
・オーストラリア
◆生体計測値
生体計測は、生きている人々を計測したものです。ここでは、長野県看護大学の人類学者・多賀谷 昭さんの分析をご紹介します。
●多賀谷(1993)
多賀谷 昭
1993年
「2.身体形質の多様性」
『オセアニア1.島嶼に生きる』
石川英吉監修
大塚柳太郎・片山一道・印東道子編
東京大学出版会
pp.19-33
●生体計測値の分析1
生体計測値の内、身長・頭長・頭幅・顔面幅・鼻高・鼻幅の6項目を分析した結果が、以下の図になります。
・横軸:頭幅に対する鼻幅の大きさに関係します。頭幅が狭く、鼻幅が広い集団は右に位置します。一方、頭幅が広く、鼻幅が狭い集団は左に位置します。
・縦軸:全体の大きさに対する鼻高の割合に関係します。鼻高が大きい集団は上に位置し、鼻高が小さい集団は下に位置します。
上図からは、メラネシア・ミクロネシア・ポリネシア・オーストラリアの4つの地域集団が比較的まとまって分布していることがわかります。但し、メラネシアの集団は広く分散しています。ちなみに、アウトライアー・ポリネシアとは、ポリネシアの分布域の外に位置していながら、ポリネシアに特徴的な言語や文化を保有している人々を指します。
●生体計測値の分析2
生体計測の大きさの成分分析になります。
横軸:生体計測値の大きさ成分
縦軸:形状の第一主成分
上図からは、身体が大きいポリネシア集団が他と離れてまとまっています。一方、ニューギニア高地のネグリト集団が離れて位置しています。ミクロネシア集団はよくまとまっています。また、メラネシア集団は、大きな変異があることもわかります。