生物考古学研究所の仕事
◆生物考古学とは何か?
●生物考古学
生物考古学は、一般的にイギリスでは「Bioarchaeology」・アメリカでは「Bioarcheology」と表記されます。
●グラハム・クラークと生物考古学
生物考古学という用語を一番最初に使用したのは、イギリスのケンブリッジ大学の考古学者、グラハム・クラーク(Grahame CLARK)[1907-1995]だと言われています。クラークは、1949年から1951年にかけて、イギリスの北ヨークシャーにあるスター・カー(Star Carr)遺跡の発掘調査を行いました。この遺跡は、約10,700BP~10,350BPと年代が測定されており、水に浸かった状態のため、木材や獣骨が非常に良い状態で保存されていました。
1972年に、クラークは、『Star Carr: A Case Study in Bioarchaeology』という報告書を出版し、生物考古学という用語が初めて使われています。但し、クラークは、出土獣骨の研究という意味で使用しました。
ちなみに、クラークは、出土した木材を先史人が石器で加工したものと判定しましたが、現在ではビーバーが囓った跡だと考えられています。
●ジェーン・バイクストラと生物考古学
アメリカではイギリスとは独立して、1976年にこの用語が使用されています。アメリカでは古病理学者のジェーン・バイクストラ(Jane E. BUIKSTRA)が先鞭をつけたと言われています。当時、アメリカでも、特にシカゴ大学では「ニュー・アーケオロジー(新しい考古学)」という変革的な考えがとられ、自然人類学者が、考古学・動物学・植物学・人口学・遺伝学・古病理学等の様々な分野を学際的に取り入れて遺跡や遺物を検証する動きがありました。
シカゴ大学人類学部大学院出身のバイクストラは、埋葬と社会・日常生活や労働の役割分担・古人口学・人口移動や遺伝関係・食物と病気等をテーマに掲げています。バイクストラ自身の専門は、古病理学ですが、出土人骨をできるだけ良い状態で観察や計測ができるように、自分自身で遺跡で発掘調査を行うという努力を続けています。
●現在の生物考古学
現在では、イギリスでも研究機関により解釈が異っており、ケンブリッジ大学では動物考古学と古植物学を、ブラッドフォード大学では人類活動や健康や病気の復元を、ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジでは出土人骨と出土獣骨の研究と位置づけています。
●生物考古学研究所の取り組み
当研究所では、出土人骨と出土獣骨の研究と位置づけ、出土人骨と出土獣骨を学際的に分析することを目指しています。
◆生物考古学研究所の仕事
生物考古学研究所では、遺跡出土人骨及び遺跡出土獣骨のクリーニング・接合復元・鑑定・計測・写真撮影・報告書の執筆まで行っています。所長の約30年に及ぶ鑑定歴・執筆歴は、このホームページの「研究業績」と「出土人骨・獣骨報告」の項目ご覧ください。
遺跡出土人骨鑑定あるいは、遺跡出土獣骨鑑定のご依頼は、このホームページの「お問合わせ」の項目からご依頼ください。なお、博物館企画展のお手伝いや講演も行っています。
◆遺跡出土人骨鑑定
◆遺跡出土人骨鑑定
遺跡出土人骨は、これまで、国内の旧石器時代人骨~近世人骨までの鑑定実績があります。遺跡出土人骨の鑑定実績は、このホームページの「出土人骨・獣骨報告」の内「出土人骨」の項目をご覧ください。
遺跡出土人骨鑑定の流れは、以下の通りです。発掘現場での、出土人骨の取り上げも可能です。
・遺跡出土人骨受け取り
・遺跡出土人骨のクリーニング
・遺跡出土人骨の乾燥
・遺跡出土人骨の接合復元
・遺跡出土人骨の観察
・遺跡出土人骨の写真撮影
・遺跡出土人骨の計測
・遺跡出土人骨の報告書作成(埋葬方法・火葬方法・個体数・性別・死亡年齢・身長・古病理等)
・遺跡出土人骨の返却
◆遺跡出土獣骨鑑定
◆遺跡出土獣骨鑑定
遺跡出土獣骨は、これまで、国内の縄文時代獣骨~近世獣骨までの鑑定実績があります。遺跡出土獣骨の実績は、このホームページの「出土人骨・獣骨報告」の項目の内「出土獣骨報告」をご覧ください。
遺跡出土獣骨鑑定の流れは、以下の通りです。発掘現場での、出土獣骨の取り上げも可能です。
・遺跡出土獣骨の受け取り
・遺跡出土獣骨のクリーニング
・遺跡出土獣骨の乾燥
・遺跡出土獣骨の接合復元
・遺跡出土獣骨の観察
・遺跡出土獣骨の写真撮影
・遺跡出土獣骨の計測
・遺跡出土獣骨の報告書作成(埋葬方法・種名・個体数・性別・死亡年齢・古病理等)
・遺跡出土獣骨の返却
◆講演
◆講演
講演は、これまで、主に人類学の分野で実績があります。講演の実績は、このホームページの『活動実績』の項目の内「講演」をご覧ください。
・人類の起源と進化
・日本人の起源
・骨を読む:法医人類学
・遺骨収集